「システムエンジニアに興味があるけど、きついというイメージも強い」
「システムエンジニアについて検索すると、やめとけって出てくるけどやばいのかな」
慢性的なIT人材不足の日本。ある程度のスキルや経験があれば、システムエンジニアの就職先はいくらでもあると言われています。
それでいて、システムエンジニアの平均年収は約500万円。日本全体の平均年収と比較すると高い傾向にあります。
とはいえ、システムエンジニアの「やめとけ」「きつい」と言われるブラックさについてはかなり気になるところ……。
そこで、この記事では、システムエンジニアを2年半経験し、まさにそのきつさを痛感した私がシステムエンジニアの仕事について詳しく解説したいと思います。
ただし、ネガティブなことだけではなく、やりがいについても紹介します。システムエンジニアについて良い面も悪い面もみられる記事になっていますので、ぜひ読んでみてください。
システムエンジニアとは?意味を簡単に解説
まずは、システムエンジニアとはどういった仕事なのかについて簡単に解説します。
システムエンジニアという言葉は、実は定義があいまいで、会社や部署によって業務範囲が異なることが多くあります。
例えば、システムを開発する人とシステムを保守運用する人とでは業務範囲が違ってくるのです。
その前提がありますが、システムエンジニアの業務内容の主な流れは以下の通りです。
- クライアントからのヒアリングをもとにしてどういったシステムをつくるか決める
- 基本設計をする
- 詳細設計をする
- プログラミングする
- テストをおこなう
- システムを導入する
- システムを保守運用する
システムエンジニアの仕事は、クライアントの要求・要望をヒアリングし、どういったシステムをつくるか決定するところから始まります。この工程を担当する人は、ITコンサルタントと呼ばれることもあります。
大規模なシステムの場合、クライアントの要求や要望をしっかり汲み取りつつ、システムとして実現可能なものに仕上げていくのは至難の業。その工程を専門におこなっている人が役割を担うこともあるのです。
とはいえ、簡単なシステム開発の場合、システムエンジニアが担当します。システムを保守運用している人は、そのクライアントの業務内容やシステムのつくりを詳しく知っているため、クライアントの要望・要求を汲み取りやすいのです。
その他にも、プログラミングやテストを担当する人は、システムエンジニアではなく、プログラマーと呼ばれることも。
システムエンジニアとプログラマーは混同されやすいため、詳しく解説しましょう。
システムエンジニアとプログラマーの違い
システムエンジニアとプログラマーの違いをまとめてみました。
主に担当する業務範囲 |
|
システムエンジニア | ・クライアントの要求や要望のヒアリング ・基本設計 ・詳細設計 ・システムの導入 ・システムの保守運用 |
プログラマー | ・プログラミング ・テスト |
あくまでも業務範囲は会社によって違うため、おおまかな目安として考えてください。
会社によっては、コードを書くのがプログラマー、コードを書かないのがシステムエンジニアという認識をしているところもあるかもしれません。
基本的には、クライアントと直接交渉・連絡するのはシステムエンジニアの仕事です。上流工程という呼び方もします。
プログラマーはコードを書いたりテストをおこなったりするのが中心で、クライアントと直接交渉・連絡することはほとんどないと考えていいと思います。
システムエンジニアのほうが年収が高かったり業務内容が広がったりするため、なかにはプログラマーからシステムエンジニアに転職する方もいます。
システムエンジニアはやめとけ?きついと言われる理由
続いて、システムエンジニアはやめとけ、と言われる理由について解説します。私がきついと感じ、退職した理由です……。
残業が多くなりがち
1つ目の理由は、残業が多くなりがちというもの。
基本的には、パソコンがあれば成り立つ仕事です。何時まででも働くことができる環境のため、長時間労働になってしまう傾向が強くあります。
特にブラック企業では、終電間近あるいは徹夜で働くことも。ひどい時は、残業代が支給されないこともあるようです。
その点、私が勤めていた会社はホワイトでした。1分単位で勤務時間が管理され、残業代はしっかり支給されています。
しかし、文系大学卒業でプログラミング未経験だった私はとにかく分からないことだらけで仕事が遅く、残業する毎日でした。
その状況をプロジェクトマネージャーやリーダーは把握していたものの、そのまま放置。その結果、月の残業時間が80〜100時間になっていました。
「なんてひどいプロジェクトマネージャーやリーダーなんだ!」と思われるかもしれませんが、プロジェクトマネージャーやリーダー自身もそういった残業をこなしてきた人達。
システムエンジニアにとって長時間労働は当たり前のことなのです。
ずっと勉強を強いられる
2つ目の理由は、ずっと勉強を強いられるというもの。
とはいえ、この点は他の業界・業種にも言えることだとも思っています。
だいたいの仕事では、さらなるスキルアップを求められるもの。例えば、年齢が上がれば管理職としてのスキルを新たに求められるのではないでしょうか。
しかし、システムエンジニアは勉強しなければいけない範囲と量が多いのです。「次の案件では特殊なプログラミング言語を使うから勉強しながら業務にあたってね!」なんて平気である世界です。
そもそもITに強い関心があったり、プログラミング言語の習得が好きだったりしないとかなりきついと感じます。
常に納期との戦い
3つ目の理由は、常に納期との戦いというもの。
ただし、こちらも納期や締め切りのない仕事は少ないかと思います。重要なポイントは、納期や締め切りが厳しいものなのか、というところ。
その点、システムエンジニアの中でも社内のシステムだけを扱う、社内SEは納期が緩く精神的に楽だと言われることもあります。
もちろん、社内SEには社内SEのしんどさがあるのでしょうが、私は少しうらやましく思うこともありました。
システムエンジニアやめとけは嘘?やりがいをもって働いている人の声
あまりにもシステムエンジニアについて暗い話をしてしまいましたが、もちろんやりがいもあります。
私が勤めていた会社でも、大変ながらも充実した雰囲気で仕事をされている上司や先輩もいました。そういった人達の声も拾ってみましょう。
ものづくりが楽しい
システムエンジニアは、物理的ではないもののデジタル上でのものづくりを楽しめます。なかには、プログラミング大好き、という先輩もいました。
もちろん、趣味でプログラミングをする気楽さはないでしょうが、楽しいことや好きなことを仕事にできるのはいいですよね。
チームで完成させる達成感がある
社会人歴の浅い私ですら、少しは感じていたやりがいとして、チームで完成させる達成感がある、というものが挙げられます。
私はとにかく仕事ができなかったので、チームに迷惑をかけていたことがほとんどですが、そのようななかでもプロジェクトリーダーから言われた「ありがとう」という言葉はとても嬉しかったです。
後輩に教えたりチーム全体の生産性を上げるために簡単なツールを開発したりできたら、やりがいを感じられるだろうな、と思っていました。
スキルアップしている実感を得られる
また、システムエンジニアはスキルアップしている実感を得やすいと思います。
単調な作業が多い仕事だと、あまり変化を感じられないかもしれませんが、その点システムエンジニアは多様なスキルを求められるため、できることがどんどん増えていきます。
新人のときはできなかったこと、時間がとてもかかっていたことが、さくっとできるようになったら嬉しいですよね。
システムエンジニアの年収
ここで、システムエンジニアの年収についても触れておきましょう。
正社員 | 平均年収:約500万円 |
派遣社員 | 平均時給:約2,300円 |
アルバイト | 平均時給:約1,200円 |
正社員だと、日本の平均年収より高めです。私の会社でも、年収が1,000万円以上の方が多くいたようです。
入社する前に会社が公式に出している平均年収はきっちり確かめたいところ。けっこう高いな、と感じることが多いのでは?
また、私がおすすめしたいポイントは、派遣社員やアルバイトもそれなりにいいというところ。正社員より責任がずいぶん楽で、高時給ならば検討してみる価値がありそうです。
ちなみにアルバイトでは、簡単なプログラミングやテストを任されることが多いため、高度なスキルやスキルアップはあまり求められないとか。
システムエンジニアに資格は必要?
スキルアップでいうと、システムエンジニアに資格は必要か、という話がよく出てきます。結論は、資格がなくても大丈夫。
ただし、会社によっては取得しなければいけない資格が定められていることもあります。例えば、比較的取りやすい資格として「基本情報技術者試験」というのがあるのですが、私は会社から取得するように言われていましたね。
資格取得勉強のための教材も支給されました。それなりにホワイトな会社だと、資格の受験料も負担してくれます。
システムエンジニアになるには?未経験からなる方法
システムエンジニアはきついと言われても、どうしても今の仕事の方が嫌だということもあるでしょう。異なる業界・業種の未経験者でもシステムエンジニアになることはできますよ。
研修の手厚い会社に入社する
未経験でも、研修体制が整っている会社なら入社可能なことがあります。私がまさにそのケースでした。
新人研修は半年間ほど。その他にも、他部署に異動するときは2週間ほどの研修を受けさせてもらいました。まぁ、私はその研修にすらついていけなかったんですけどね……。
とはいえ、同じ文系大学卒業の未経験の同期はしっかりスキルを身に付けていきました。新卒入社して約10年が経つのですが、今でもシステムエンジニアとして活躍しているみたいですね!
プログラミングスクールに通う
いきなり会社に入るのは自信がない……、という方であれば、プログラミングスクールに通うのは大変おすすめです。
そもそもプログラミングに適性があるのか、きちんとチェックできますし、私もこの工程を踏んでいればもっといい未来になっていたのではないか、と思うほど。
おすすめのプログラミングスクールとしては、専門実践教育訓練給付制度の対象となっている「TECH CAMP」があります。
条件を満たすことで支払った受講料の最大70%(上限56万円)が給付金として支給されるため、あまり貯金がない方にもおすすめです。
他にも、就労支援に力を入れているところは魅力的ですね。
まとめ
システムエンジニアはやめとけ、きついと言われる理由を中心に、その実態を解説しました。
私は2年半で辞めてしまったわけですが、人には恵まれていたのではないかと思っていますし、業務内容に適性があったら続けていたのではないかと思います。
実際、30人くらいの同期がいるのですが、約10年経ってそのうち辞めたのは5人ほどのようです。年収はそこそこいいですし、やりがいもあります。
システムエンジニアの適性があれば、チャレンジしてみてもいいかもしれませんね!あなたにとって適職なのか、きちんと見定めてください。